一般的に整体やマッサージなどの施術では、ぐいぐい押したり、もんだり、ということを行う手技がいまだに多く見受けられます。また術者本位にこれが正しい姿勢だ、と矯正されたりもします。
それがほとんど当たり前、となっていて、身体は強い力をかけて押したり、揉んだり、矯正したりしないと緩まない、治らないと思い込まれているようです。
しかし、身体は強い力をかければかけるほど緊張し、歪みます。私は自分自身が長年耐え難いほどの痛みと、不調に苦しみ、様々な施術をうけてきて身体が感じたことと、施術で患者様のお身体の反応を診させて頂いてきた経験から、いやというほどそのことを実感してきました。
なぜそうなのか、というのはきちんとした理論があるのですが、理屈ぬきに身体はそのように反応するのです。
私の施術をうけてくださった患者様は、よく「不思議だ」とおっしゃいます。今までぐいぐい押さないと良くならないと思い込んでいた観念が、根本からひっくりかえされるから「面白い!」「不思議だ!」と感じられるのでしょう。
ある患者さんは、首が痛くなってしまい、ご予約のお電話がありましたが、こちらに空きがなく、仕方なくつなぎでもいいから揉んでもらおう、と仕事場の近くの接骨院にマッサージしに行かれました。そこで、痛めている首をぐいぐい揉まれ、施術中に腕までしびれてきたので恐怖を感じ、術者に「大丈夫ですか?」と訴えても全然力を弱めてくださらなかったそうです。
その結果、神経の炎症がさらに悪化し、首がまったく動かせなくなり、夜も痛みでねむれなくなってしまいました。
そんな状態でお越しになって、一回目の施術時にはまくらを相当高くしないと仰向けで寝られなかったのが、二回目の施術後嘘のように痛みが取れた、といって頂き、私も一安心しましたが、いまだにぐいぐい押されるのが当たり前となっているのだな、と改めて痛感しました。
また、別の患者さんは、私の施術をうけてから、身体の見方、感じ方が変わり、ご家族に「肩をもんで」と言われても、ご自分の指ではとてもかなわないほどの凝りのため、がんばって押そうとするものの、「筋肉がいやだ!」といって反発するのがわかるようになってきた、とおっしゃっていました。
私がそっと触れるだけで、この患者さんは全身がよく反応してくれて、「ここがこうなった、こっちとつながっている」と教えてくださったり、身体が勝手に動いてくれて調整する、とても感度のいい患者様です。
日本人の身体感覚や、生理学的理由をお話しすると、とても納得がいった様子で、「自分の感じていることは間違いではなかったのですね!」と嬉しそうに話してくださいました。
私は皆様が身体に対する見方や感じ方が根底から変わっていったり、身体が一瞬で変化したりする面白さや不思議さを味わっていただけるのが、とても楽しいです。
これからも皆様と一緒に身体の不思議さを体感し、健康になるお手伝いをさせていただければと思っております。