呼吸法には様々な方法があります。腹式、胸式、○式etc.
どこをどのように使うか、何秒で吸って、何秒で吐くか、吐く方を大事にして、お腹の中の空気を全部吐き切りましょう、など、実に様々なことがうたわれています。
一体、何が一番いいのか分からなくなってしまう、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私は以前、パニック障害だったことがあり、過呼吸には頻繁におそわれていましたので、呼吸は苦しいものだ、というのが身体に染みついていました。
発作が起こらなくなってからも、普段の呼吸の浅さを自覚していましたので、呼吸法をやってみたことがあります。
ところが、ゆっくり細く長く息を吐き出す、ということを意識すると、すぐに腕、頭がしびれてきました。やり方が間違っているのかな?と思って色々変えてみても、しびれは変わらず生じました。身体も余計に緊張する部分が生じて、リラックスしきれません。
意図的に呼吸をすると、必ずしびれてしまうので、そのうち呼吸法は諦めてしまいました。整体の勉強をしていくうちに、しびれた原因や、呼吸はどうするのがいいのか、理解することができました。
全身に酸素を供給するために、巧妙な仕組みが身体には備わっています。
身体はその時々の状況や、身体の状態、心理状態に応じた最適な呼吸をしています。
私が意図的に呼吸法をして、しびれがでてしまったのは、激しい運動をしていない平常時に空気を吐き切ってしまったために、肺の二酸化炭素濃度が低下し、血中のHPバランスがくずれ、結果として抹消の酸素不足が生じてしまったのでした。
身体が巧みに調整してくれている機能と反することをすると、すぐに違和感を感じます。
身体はしびれを出して、それを教えてくれたのでした。
しかし、そんな時「あれ、自分が正しくできていないのかな?」「まだ訓練が足りないんだ」「私の方がおかしいんだ」と思ってしまい、情報=頭の言うことに従おうとしてしまいがちです。
そんな時こそ、「ちょっと待って!身体はどうしたいの?どうしているの?」と、まずは身体のしてくれていることに意識を向けてみてほしいのです。
身体のしていることに意識を向け続けていると、段々変化していく様子が感じられていきます。
基本的に身体は快適になるよう、常に調整してくれます。
それに委ねることができれば、私たちは余計な努力をすることもなく、安心して身を任せられるでしょう。それが本当のリラックスではないかと思います。
リラックスとは、努力して「なる」「する」ものではなく、ただなすがまま、あるがままで、ゆったりしている状態です。
それが心底腑に落ちて、自然に身についてくると、生きていくのがもっと楽しく、楽になれると感じています。